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多事奏論

姫路出身、長岡在住のフルート・篠笛奏者によるblog。フルート・篠笛教室もやってます。お気軽にお問い合わせください。ブログ内の画像はクリックすると拡大版が見られます♪

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指揮について

立場上、合奏や合唱の指揮をすることがあります。
でも、学生時代にほんの基礎の入り口を習ったっきりで、技術は本当にありません。
一応、指揮法の成績は「優」を頂いていましたが、普通にやってれば貰えるんじゃないかと思います(笑)。

そういうことが不安なまま、勢いで頑張ってきました。
ところが、私が指揮をすると、バンドの演奏が元気良すぎる気がしていました。音が出ないよりは良いのですが、情緒に欠ける……そこがずっとコンプレックスでした。

それから20年。
当時とは違うグループを指導するに当たって。
ふと思うのは、自分の好みのスタイルが変わったこと。
普段のフルート指導にも現れていて、特に音色や音の方向性は、演奏上で外せなくなりました。生徒の音を聴いて、もっと口の中をこうすれば、もっとイメージをこう持てば……と具体的に誘導し、音色の変化を共有します。
音色が少しのことで変えられる、変わったあとの音のほうが美しい、と気付けば、生徒にも目標が見え、自発的に研究するようになります。

結局のところ、音楽はただ根性を持って長時間練習すれば良いものでは無く、ある気付きがあれば、一瞬で上達したりするものです。もちろん、長時間の忍耐と練習が必要なこともありますが、「気付かせてくれる指導者」と「気付ける頭脳」があれば、ある部分については大幅に時間短縮でき、音楽が劇的に変化するのです。

そういうことを実践してきた20年。いや、考えが深くなってきたのはここ10年くらいでしょうか。
まぁ、私も、その「気付き」を師匠に気付かされたわけですが(笑)。


つい最近も、その「気付き」が訪れました。
指揮について、やはり技術が未熟なのと、昔のコンプレックスがあったので、指揮の先生に迷いをお話したんです。すると先生、
「あなたが勉強してきたことを、そのまますればいいんですよ」
と。

指揮というものは、ただ棒を振って合図する以前に、楽団の前に指揮者が立つだけで、楽団の音色がもう変わっていると言います。
その違いは何によって起こるかと言えば、前に立つ人の音楽性だと仰るのです。今まで勉強してきたことが、そのまま出るだけだと。


これを聞いて、肩の荷が下りた?
いえいえ、身が引き締まる思いでした。
演奏家にとっての楽器は、指揮者にとっては楽団である。
当たり前のことだけど、同じ楽器でも同じ楽団でも、演奏する人によって違う音が出るのです。この基本を、私は解っていなかったのです。いや、楽団が楽器だと知っていたのに、理解が浅かったのです。
ショックでした。
自分のフルートの勉強と指揮の勉強は繋がっている。ピアノを弾くこととも全て繋がっている。そんなことも解って居なかったのです。


こうして文章にしてみても、私のショックは表しきれません。それほどに、衝撃的な言葉でした。
ただ、以前の私なら、その言葉に含まれていることに気付かず、そこまで考えさせられなかったでしょう。それを思うと、少し嬉しくもあります。
卒業してから全くお会い出来ていませんが、やはり先生には御縁があったのだなぁと、改めて感謝しました。

振り返れば、いろんな先生からいろんな影響を受けています。少しでもご恩をお返しできるよう、勉強を続けたいと思います。
出来れば、かなりお年を召された先生もいらっしゃるので、何とか連絡を取って、帰省の折にでもひと目お会いしたいなぁ……(^^;
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