篠笛と能管と田楽笛 その3
今回の事の発端は、私が田楽笛を購入しようと考えたことだった。
どうやら、能管のように竹を八ツ割りにし、それぞれを裏返して作るものと、竹のまま使う田楽笛があるらしく、
“割って裏返さない田楽笛”を買うくらいなら、お小遣いを貯めて“割って裏返す田楽笛”を買ったほうが後悔無いよね。
と考えた。
そこへ、岸田晃司さんのツッコミ。というかアドバイス。
※遣り取りは適当に端折り、編集してあります。あしからず。
「割って裏返すのは単なる迷信が一人歩きしてる、説がどうやら笛師さんの間でもある様です。要するに太い煤竹が手に入れば真竹を割る必要ないんだとか。」
ここで以前に書いた、「能管=割って返す」説が覆る。
それなら田楽笛も、割らなくて良いということが分かった。そのほうがお値段も安いはず……と考える。
なお、この場合の田楽笛とは、故・野村万之丞先生考案の田楽で使用する笛のことである。
ところで、である。
「田楽笛が言わばノドの無い能管」なら、一噌幸弘さん考案の「ノドの無い能管」との違いって?」
根本的な問題がここにあった。
岸田さん(以下K)「音色じゃないですかね? 僕のイメージでは、田楽笛は見た目が能管あるいは龍笛の様な篠笛。 ノドのない能管はそのまんまノドのない能管なのかなと。」
高垣(以下T)「“のようなもの”は、やっぱり“のようなもの”で、田楽笛は能管とは違うのかなぁ。私は機能や材料よりも音色で笛の種類を分けてしまうので(ここでこういう音が欲しい、とかで)、造りをあまり気にしたことなくて。」
結局そこなんですよね。造りが厳密にどう違うかより、音色が大事だし、気になる。やっぱり二人ともプレイヤーだった(ここ、笑うとこです)。
このあたりで蘭情さんにお電話しました。
田楽笛がおいくらくらいから制作可能なのか?
野村先生の田楽で使う、と用途をお伝えする。
蘭情さん「野村さんのところの田楽で使うなら、篠の十で吹けませんかね~」
T「今吹いてるんですが、音が細くて物足りないので、田楽笛をと思いまして。」
蘭情さん「田楽笛なら音は篠より通るけど、大甲が出にくいので、大甲のある曲なら太めの篠でどうでしょう」
こう仰っていました。
能管と田楽笛の戦いに、太めの篠笛が乱入してますます混乱!
田楽の笛作りに蘭情さんが関わっていたとは言え、まだまだ日々、笛を進化(深化)させているお方。長い年月を経て、能管ベースより篠笛ベースのほうが音を出しやすいとの結論に落ち着いたのかもしれません。今のところ(また新しい技術を編み出したら進化すると思われる)。
私のほうは、今より太くなめらかな音が出れば問題無いです。単に田楽笛が欲しいのでなく、決まった田楽に使う田楽笛が欲しいので。あわよくば、演奏会にも使って、という軽いノリです。
この時ちょっとしたハプニングがあり、蘭情さんに聞こうと思っていた「ノドなし能管」と「いわばノドの無い能管であるところの田楽笛」の違いを訊き忘れる(笑)。
でも今回は、ノドなし能管でなく、篠笛ベースの田楽笛だから、とりあえず悩みは先延ばしになった。というか、解決が遠のいた。
一方、晃司さんより動画の紹介。
「呂は確かにちょっと能管ぽい響きだけど、甲は普通に篠笛? 確かに大甲はきつそうです(^^;; 」
T「これ能管ちゃう? 呂は能管の音するね。甲が篠笛の音なのは口の中の状態が篠笛だからかな? 私は能管やらないんだけど、大甲ってこんなにキツイものなの?」
K「本物の能管手に入れてからよく分かるのですが、この笛は似てるけど全然能管の音じゃないと思います。この音程感とか低音の感じとか能管じゃ絶対出ない音です。 見た目も長細いし、古典調の四か五あたりの太くて硬い篠の音、って印象かなぁ。」
違和感はそれだったのかと、再度動画を見て音を聴いてみる。
T「そうそう、音程は能管と違う気がするのよ、篠笛で摺り上げて解決するような。やっぱり違う感じなんですね…。でもコレ「能管ソロ」って書いてあるよ……」
K「マジすか!てことはこれこそノド無し能管じゃないですか!? 作ったと思われる方に確認しないとですよ!(笑) 」
うわぁ~お化けの音の出る笛(能管)の話してたら、本当にお化けが出るんじゃないの、コレ(爆)。
話は意外な方向へ。
K「確かに能管ソロって書いてあります(笑) でもご本人のアカウントではないので信憑性が(^^;; コメントを見ていると、田楽笛です、とも書かれています。」
どっちなんだ!
K「あすなろ管というのもあるのでその可能性もありです。 ノド無しお化けの成れの果てですよきっと(笑) 」
新たなお化け候補が。何ともホラーな話になったものだ、夏の夜でなくて良かった(笑)。
オチが付いたのが面白くて、話の掲載を晃司さんに打診しました。快くOK出してくれて、ここに転載となりました。いつもありがとう~♪(^▽^)ノ
間に西川浩平先生の動画も見てみました。この方の演奏はヒシギも美しいです!
岸田晃司さんは、11月24日(土)の「篠笛フェスタ2012」に出演されるそうですので、お近くの方、お時間ある方はぜひ行ってみてください♪ 場所は青山 月見ル君想フ。前売券¥4,000。
神楽笛のことさん、篠笛・能管の朱鷺たたらさんも出演されますよ。
岸田晃司さんオフィシャルサイトはこちらから。
私のこのブログの左側からもリンクしています。ぜひご覧下さい。
どうやら、能管のように竹を八ツ割りにし、それぞれを裏返して作るものと、竹のまま使う田楽笛があるらしく、
“割って裏返さない田楽笛”を買うくらいなら、お小遣いを貯めて“割って裏返す田楽笛”を買ったほうが後悔無いよね。
と考えた。
そこへ、岸田晃司さんのツッコミ。というかアドバイス。
※遣り取りは適当に端折り、編集してあります。あしからず。
「割って裏返すのは単なる迷信が一人歩きしてる、説がどうやら笛師さんの間でもある様です。要するに太い煤竹が手に入れば真竹を割る必要ないんだとか。」
ここで以前に書いた、「能管=割って返す」説が覆る。
それなら田楽笛も、割らなくて良いということが分かった。そのほうがお値段も安いはず……と考える。
なお、この場合の田楽笛とは、故・野村万之丞先生考案の田楽で使用する笛のことである。
ところで、である。
「田楽笛が言わばノドの無い能管」なら、一噌幸弘さん考案の「ノドの無い能管」との違いって?」
根本的な問題がここにあった。
岸田さん(以下K)「音色じゃないですかね? 僕のイメージでは、田楽笛は見た目が能管あるいは龍笛の様な篠笛。 ノドのない能管はそのまんまノドのない能管なのかなと。」
高垣(以下T)「“のようなもの”は、やっぱり“のようなもの”で、田楽笛は能管とは違うのかなぁ。私は機能や材料よりも音色で笛の種類を分けてしまうので(ここでこういう音が欲しい、とかで)、造りをあまり気にしたことなくて。」
結局そこなんですよね。造りが厳密にどう違うかより、音色が大事だし、気になる。やっぱり二人ともプレイヤーだった(ここ、笑うとこです)。
このあたりで蘭情さんにお電話しました。
田楽笛がおいくらくらいから制作可能なのか?
野村先生の田楽で使う、と用途をお伝えする。
蘭情さん「野村さんのところの田楽で使うなら、篠の十で吹けませんかね~」
T「今吹いてるんですが、音が細くて物足りないので、田楽笛をと思いまして。」
蘭情さん「田楽笛なら音は篠より通るけど、大甲が出にくいので、大甲のある曲なら太めの篠でどうでしょう」
こう仰っていました。
能管と田楽笛の戦いに、太めの篠笛が乱入してますます混乱!
田楽の笛作りに蘭情さんが関わっていたとは言え、まだまだ日々、笛を進化(深化)させているお方。長い年月を経て、能管ベースより篠笛ベースのほうが音を出しやすいとの結論に落ち着いたのかもしれません。今のところ(また新しい技術を編み出したら進化すると思われる)。
私のほうは、今より太くなめらかな音が出れば問題無いです。単に田楽笛が欲しいのでなく、決まった田楽に使う田楽笛が欲しいので。あわよくば、演奏会にも使って、という軽いノリです。
この時ちょっとしたハプニングがあり、蘭情さんに聞こうと思っていた「ノドなし能管」と「いわばノドの無い能管であるところの田楽笛」の違いを訊き忘れる(笑)。
でも今回は、ノドなし能管でなく、篠笛ベースの田楽笛だから、とりあえず悩みは先延ばしになった。というか、解決が遠のいた。
一方、晃司さんより動画の紹介。
「呂は確かにちょっと能管ぽい響きだけど、甲は普通に篠笛? 確かに大甲はきつそうです(^^;; 」
T「これ能管ちゃう? 呂は能管の音するね。甲が篠笛の音なのは口の中の状態が篠笛だからかな? 私は能管やらないんだけど、大甲ってこんなにキツイものなの?」
K「本物の能管手に入れてからよく分かるのですが、この笛は似てるけど全然能管の音じゃないと思います。この音程感とか低音の感じとか能管じゃ絶対出ない音です。 見た目も長細いし、古典調の四か五あたりの太くて硬い篠の音、って印象かなぁ。」
違和感はそれだったのかと、再度動画を見て音を聴いてみる。
T「そうそう、音程は能管と違う気がするのよ、篠笛で摺り上げて解決するような。やっぱり違う感じなんですね…。でもコレ「能管ソロ」って書いてあるよ……」
K「マジすか!てことはこれこそノド無し能管じゃないですか!? 作ったと思われる方に確認しないとですよ!(笑) 」
うわぁ~お化けの音の出る笛(能管)の話してたら、本当にお化けが出るんじゃないの、コレ(爆)。
話は意外な方向へ。
K「確かに能管ソロって書いてあります(笑) でもご本人のアカウントではないので信憑性が(^^;; コメントを見ていると、田楽笛です、とも書かれています。」
どっちなんだ!
K「あすなろ管というのもあるのでその可能性もありです。 ノド無しお化けの成れの果てですよきっと(笑) 」
新たなお化け候補が。何ともホラーな話になったものだ、夏の夜でなくて良かった(笑)。
オチが付いたのが面白くて、話の掲載を晃司さんに打診しました。快くOK出してくれて、ここに転載となりました。いつもありがとう~♪(^▽^)ノ
間に西川浩平先生の動画も見てみました。この方の演奏はヒシギも美しいです!
岸田晃司さんは、11月24日(土)の「篠笛フェスタ2012」に出演されるそうですので、お近くの方、お時間ある方はぜひ行ってみてください♪ 場所は青山 月見ル君想フ。前売券¥4,000。
神楽笛のことさん、篠笛・能管の朱鷺たたらさんも出演されますよ。
岸田晃司さんオフィシャルサイトはこちらから。
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