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多事奏論

姫路出身、長岡在住のフルート・篠笛奏者によるblog。フルート・篠笛教室もやってます。お気軽にお問い合わせください。ブログ内の画像はクリックすると拡大版が見られます♪

2021年03月 | ARCHIVE-SELECT | 2021年05月

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笛を選ぶ

発表会前にやること。
笛を選ぶこと。二択までは簡単に絞れますが、問題はここから。

20210408

上、蘭照さんの古典調六笨調子。漆仕上げ。
下、朗童さんの古典調六笨調子。燻し竹。

究極すぎる。
音量や遠達性、音色はどちらも遜色ない。
ただ、その鳴り方が全然違う。

ヴィクトリアさんの推しは、蘭照さんの笛。倍音が豊かで柔らかく、音がとろけるようです。
まさにドルチェ。
フルートでは一緒に歌ってくれるけど、篠笛では歌ってくれないワンコさん。でも、いい感じの蘭照さんの笛だと、歌ってくれるのです。フルートより1オクターブ低く(笑)。

あ、倍音って、笛の音を機械で計る人とか居ると思うんですけど、あくまで目安です。吹き手が笛ごとの特性に合わせてそういう吹き方をしてこそなので、目安にもならないかもしれない。
例えばフルートだと、良い楽器であればあるほど、その性能いっぱいいっぱいで演奏できている人は少なかったりします。良い楽器であるが故に、多くの人は8割9割までで満足してしまう。普通に「良い楽器」として、高評価されています。
ところが、その先に領域展開すると、明らかに他とは違う異様な鳴りが含まれてきて、まさにその音が最大の特徴であり魅力なんですよ。
(ちゃんと鳴らせってことです)


私が使っているフルートはパウエル社のもので、しかも古いシステムのもの。
いちど、今よりラクによく鳴る最新のものにしようとしましたが、師匠が待ったを掛けてくれたので、やめました。
まさに上記の理由です。
よく鳴る、というのは、本当によく鳴っているか? 
鳴って聴こえるだけではないか?
例えばホールで吹いたら、理想的に響くか?
よく鳴ってるというその普段の状態から、さらに私と楽器の状態が良いとき、異様に鳴り響くことがある。それが新しい楽器に備わっているか?

楽器や学問としての研究の歴史が深い、フルートという楽器で言えば、こんな感じ。
そこで篠笛ですよ。
響きの気持ちよさをフルートで慣れているのだから、それとは違う響き方をする篠笛でないと、「やっぱりフルートがいいや」ってなってしまう。
そこへ持ってきて、蘭照さんの笛は遜色ない気がします(モノにもよる)。
和楽器の音の響き方をしながらも、西洋楽器特有の、空間を音で満たす感じもある。

一方、朗童さんの笛。
師匠が持っている先代さんのでなくて、二代目久保井朗童さんの笛だけれども。
高めの倍音が強い感じで、清々しい。矢のように遠くへ飛んで行きます。凛とした音。
写真のは燻しですが、私が持っているのでは古典の七笨調子が異次元です。場を充たしつつ、遠くへ行く。
この燻しも、「竹がいいのが無い、頼んでたところが作るのをやめたから他も試したけど、ダメだった。だから燻しはあるだけで終わり」というものでした。

方向が違うから選べない。演奏会だったら双方使う。
でも発表会は1曲なんだよねえ~。

これを書きながら、まさに考えています。

祭囃子だし、鯉沼先生のところだし?
皆さんが私に期待する音色は、朗童さんのほうなのかな?
とは言え、その時のコンディションにもよるので、2管持参します。ギリギリまで悩むんだろうな~。


なお、衣装については適当に用意します。洋服でもいいと思ってるくらいです……。
密を避けるため、控室に入場制限があるから、簡単なのにしたい~。

| 徒然 | 15:30 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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民謡の練習

皆さん、民謡、お好きですか!?
「ハイ」という人は少ないのではと思います……特にフルート関係でこのブログに来てくださっているかた。無理ですよね~~。私もそうでした!

バッハがスタートで音楽の世界に足を踏み入れた私は、その後、既知のベートーヴェンやチャイコフスキーに入っていくわけですが、ガチガチのクラシックの人だから、篠笛を習い始めたとき、教材に短い簡単な民謡がよく出てきて、「ダサい……」と思っていました。だから「無理、わからない」と思っている人の気持ちはすごく分かります。
現代日本人は、多くのかたが民謡とは無縁に育ちます。
最近は学校音楽で「日本の歌や楽器を取り上げる」ことになっていますので、いまの30歳代後半~50歳代が最も日本の歌に縁遠いかもしれませんね。今の20歳代半ばの人は、吹奏楽でジャポニズムが流行ったから、カッコよさはご存じだと思います。

閑話休題。
(このままいくと限りなく違う話題に拡がっていってしまうので)

さて、民謡。私はやってるうちに面白さに目覚めました。
私が感じている面白さは、端的に言えば、「重み」と「感情」です。
それはさておき、民謡をかじってみる上で、知っておいたほうがよいことがあります。成立した背景です。

学校での例になりますが、「ソーラン節」というと「ソーラン!ソーラン!」というリズミカルなものを思い浮かべる生徒がほとんどです。では、その元になっている歌はどんなの? ってところです。
例えば ♪ヤサエーエンヤー、のところ、エンヤーで魚(ニシン)がたっぷり入った重い網をみんなで一斉に引き上げる。腹に力を入れたいですので、歌いかた(演奏のしかた)が変わりますよね。

「刈干切唄」はどうでしょうか。
なぜゆったりとしているのでしょうか。広々として長閑な感じは、人によっては東北民謡だと思うかもしれません(宮崎民謡です)。
一言で説明すると、鎌でカヤを刈っている唄、です。
鎌で刈るのに、あんなにゆっくりになるかな? 
実はあの地方の鎌、柄が長いんです。長い鎌をブン、、と振って刈る。ゆっくりになりますよね~~。

こう背景を知ることで、演奏がぐっと良くなるし、重みがリアルに感じられ、面白くなります。何より、知らない地域の話、昔の文化などを知れて、ちょっとした知識・雑学が増えたようで嬉しい。


そんなこんなで今は民謡も聴ける(演奏する)私が、いろいろ聴いていましたらですね、朝鮮半島の「清声曲(チョンソンゴク)」が日本の民謡みたいで面白かったです。フレーズのお尻にコブシを回す感じ。そしてタンソ(という楽器)が、低い音の篠笛に似て聴こえると思いました。縦の笛だけど尺八感は薄いかも。
気になるかたはリンク先を見てみてください。動画も置いてあります。

アジアの楽器図鑑

こうやって、ひとつ知るとひとつ他に繋がっていく。
このバックグラウンドが自身の音楽力に影響を及ぼすのは言うまでもないです。

| 徒然 | 12:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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「楽譜を読む」の誤解

時々耳にする話。
「楽譜どおり、p(ピアノ)もf(フォルテ)も表現したのに、録音を聴いたら良くなかった」

強弱が付けられて、指定通りに演奏できる技量があることは、まず素晴らしいことですよね。

一方、「専門に音楽を勉強している」という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
「楽器を練習する」でなく「音楽を勉強する」。
音楽の勉強というのは想像がつかないかもしれません。
その内容のひとつで、見ればわかるものをひとつ示したいと思います。

この楽譜を見ながら、次の動画を冒頭だけ視聴してみてください。
(かの有名なJ.ゴールウェイ先生^^)

20210402



さて。この演奏は「楽譜どおり」でしょうか?
例えば音の長さ、どうでしょうか?
 :
 :
 :
 :
 :
答えは、「YES」です(まぁ多少のオリジナリティは入ります)。
別に名演奏家だからこうなる、というわけではないです。私が吹いてもこんな感じです(笑)。
楽譜には、「言わずもがな」なことは書いていません。

小説を朗読することを考えてみてください。声を小さく、ゆっくり、などという指定は書いてありませんが、プロの朗読家さんはその小説が最も活かされるよう、伝わるように読みます。機械の自動読み上げとは全く違うということは、誰にでも分かります。
なのになぜ、「楽譜を読む」ということになると、機械の自動演奏みたいになってしまう人が多いのでしょうか。

モーツァルトの譜面を見ると、プロへ渡した譜面と、愛好家から頼まれた譜面では、強弱を書いてある数が違ったりします。書かなくても勝手にフォルテになるところには、本来は書かなくていい。自然にフォルテになるけど、特別に音を小さくしてほしいところにだけピアノと書けばいいからです。

上の譜面での「音の長さ」で言えば、その時代のスタイルを知り、和音の機能を知るなど、知っていることが増えると、どこにフレーズの切れ目があるかが見えてきます。メトロノームをカチカチ言わせっぱなし、それに合わせっぱなしの演奏にはならないのです。

「楽譜を読む」というのは、こういうことで、「楽譜をどれだけ読み込めるか」は、このように勉強の積み重ねが反映されるものです。
まぁ、歌謡曲などはずっとメトロノームをカチカチで大丈夫ですが、他のジャンルで勉強した人は、そのカラーを出すことが出来ますね。「千本桜」などはそう。いろんな方が歌っていますが、カラーが違います。重みを置いている音が違ったりします。
果たして、楽器を演奏する人は、そこまで考えて歌謡曲を演奏しているか?

残念ながら、歌詞が無い分、表現としてはマイナスになってしまっている人が多いですよね。
知っている曲を聴くときは、聴く人が頭の中で原曲を補うから、そこそこ演奏できればウケるんです。悪い言い方をすれば。
コンサート後のお客様アンケートで、「知っている曲だから良かった」「好きな曲だから良かった」「リズムが良くて楽しかった」と書かれることは、演奏家としてはどうなんだろう?
そう気付いてから、子ども向けのコンサートでも皆が知らないであろう曲を演奏するし、篠笛に至っては、会場のほとんどの人が知らないであろう曲しか演奏しません! でも、そのほうが終了後に喜んで頂ける。



音楽なんて、楽しければいいと思うんです。基本的に。
楽器が吹けると、さらに楽しい。

だったら、楽器を吹ける人の中から、もう一歩進んでくれる人が、もっとたくさん現れたらいいなと思います。
「楽譜を読む」に関しても、「そういうことなのか」と知っているのと知らないのとでは、心構えが全然違いますよね。これが「勉強する」ということです。
「何を知らないのかが、分からない」時は、プロに習ってみてください。
知らないことを知ること、これが本来の「学び」であり、人間らしい喜びであると思います。

| ♯レッスンのつぼ | 13:19 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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