「こきりこ節」
こきりこの竹は七寸五分じゃ 長いは袖のかなかいじゃ
窓のサンサはデデレコデン はれのサンサもデデレコデン
向いの山をかづことすれば 荷縄が切れてかづかれん
窓のサンサはデデレコデン はれのサンサもデデレコデン
小中学校で習った「こきりこ節」。
「かなかい」とは「邪魔」という意味である、と言葉は習ったものの、私は「民謡=古臭い」というイメージを持ったままでした。
音楽学生の頃も西洋音楽を専攻していたので、日本の音楽とは全く触れ合わないまま。
大人になってから篠笛を始め、その民謡と向かい合う時が来ました。正直、つまらない。
しかし、この「つまらない」というのは、「知識不足」と「先入観」に拠るところが大きいのです。
特に、広く評価され、古くから継承されている伝統に対して「つまらない」「面白くない」と言葉に出すことは、自分の無知をさらけ出すということにも繋がるのではないかと思います。
事実、知れば知るほど面白い。以前は面白く感じられなかったのに、大人になってから見ると(やってみると)面白いものがけっこうある。
私の場合はそれが日本の音楽やバレエでしたが、そういうものがあることに気付いている人は多いのではないでしょうか。
さて、富山県五箇山の「こきりこ(節)」。
はじめに引っ掛かるのは「こきりこ」ですね。
情報は「七寸五分」「長いと袖の邪魔になる」ということ。
ここに、「こきりこ節」は踊りの音楽である、という情報が入ると、一挙解決します。
「こきりこが七寸五分より長いと、着物の袖に引っ掛かって踊りの邪魔になる」。
つまり、手に持って踊るものということが分かります。
調べてみると、二本の竹で作った簡素な民族楽器である、と出てきます。
手首を回転させながら打つ。
(Wiki「こきりこ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%93%E3%81%8D%E3%82%8A%E3%81%93)。
Wikiの文章を引用します。
こきりことは日本の民謡『こきりこ節』(こきりこ踊)などを歌って踊る際に用いる民俗楽器である。『こきりこ節』は富山県五箇山地方のものが有名だが、ほかにも新潟県柏崎市女谷(おなだに)の綾子舞の演目にも見られる。
新潟県は柏崎市の「綾子舞」が出てきました。
なんと富山県と新潟県が「こきりこ」で繋がっています!
「綾子舞」とは、
・ 越後国守護上杉房能の妻である綾子によって伝えられた舞
・ 500年の歴史を持つ
・ 中世の風流踊や初期の歌舞伎の様相を伝えていると考えられている
・ 重要無形民俗文化財の第1回の指定を受けた
・ 女性による「小歌踊」、男性による「囃子舞」、「狂言」の三種からなる(それぞれ何曲か演じられる)。
「中世の風流踊や初期の歌舞伎の様相を伝えている」。
富山県の「こきりこ」は、田楽から生まれ、田踊りとして発展しました。田楽とは、五穀豊穣を祈り、百姓の労をねぎらうための踊りで、田楽法師と呼ばれる職業芸能人たちが行いました。こきりこでは、竹の板を束ねて半円状に組んだ楽器を波打たせて鳴らす「ささら」、鍬金や太鼓も鳴らして演奏しますが、これも田楽から来ています。歌詞の「ででれこでん」はこの太鼓の音とされています。
関西人の私としては、新潟も富山も同じ日本海沿岸。
上杉房能が自害した後、妻・綾子が何故柏崎に踊りを伝えたのか?
補佐役であった長尾能景(上杉謙信の祖父)が、一向一揆に対抗するため越中国へ出兵し戦死しているが、何か関係あるのだろうか? このあたりはよく知りません(><)
「五箇山こきりこ祭り」は富山県南砺市(旧平村)上梨にて、毎年9月25・26日に開催。
「綾子舞」は新潟県柏崎市、綾子舞会館前広場にて、毎年9月の第2日曜日に開催。今年は9月9日(日)の13時〜15時40分(オープニング12時30分頃から)。