よく「曲想」とか「表情をつけて」とか言いますが、頑張ってつけてもダメなケースと、特に付けないでも美しいケースとがあります。
レベルの差、と言えばそれまでですが、指が相当回って強弱も付けられて音も綺麗なのに何かが違う、という場合もあります。
私は講師なので、生徒さんがその差を埋められるようアドバイスしなくてはいけません。
とりあえず常に心掛けていることは、フレージングです。そこそこ音楽をしてきた方がうちに来て戸惑うのは、この点では無いでしょうか。
例えば、ドレミファソラシドという音階を吹く場合にどう感じるかですね。
ただ吹いてしまうか、音楽を感じられるか? 音階練習の時も、ただの指の運動にならないようにして欲しいと思っています。
(ちなみに私が無意識に吹いた場合だと、↑の音で1小節目が「ドレミファ」で2小節目が「ソラシド」とノーマルな楽譜なら、そのうち「ファ」がアウフタクトでフレーズのはじまりかな、という感じです。他の音が無いので正解はいくつもあります、ほかに面白い吹き方があったら試してみてください)
その音楽がどう組み立てられているか解釈していくことを「アナリーゼ(楽曲分析)」と言いますが、厳密に言えばこれが出来るか出来ないかで奏法も変わってきます。
国語で言うと「品詞分解」に当たるでしょうか?
「これはペンです。」
を分解して、「これ」「は」「ペン」「です」「。」とし、更にそれぞれを見る。「これ=此・れ」はペンにかかり、「は」は助詞で……と進めていき、最終的にどの言葉も意味があるということを知る。
音楽の場合もそうです。その音楽が出来た背景を知り、作曲家を知り、音のひとつひとつを知る。するとフレーズが見えてくる。強弱の中にも強弱があり、フレーズの中にもアウフタクトが含まれることが分かってくる。
勉強して数をこなすしかないんですが。
生徒さんには、細かいことを考えず感覚的~習慣的に身に付けて欲しいので、手っ取り早い方法で伝授しています。上達してくると、ブレスの位置を曲に逆らって付けることがなくなります。そうなったら、更に細かいことを覚えていただく、この繰り返しをしています。
小さい子供に教えるときは、当然ブレスも問題になってくるので、この考察に沿って、センテンスごとに教えます。譜読みをしてきてもらって、次の授業でフレーズのまとまりを教えると、嘘のように上手に演奏しだしたりして……
大人の方でも、難しいパッセージが区切り方によって簡単に吹けるようになることもあり、皆さん驚かれます^^
「あまり上達していなくて指が動かないから曲が綺麗に吹けない」という方がいらっしゃいますが、心でカバーできます。まず自分がどう吹きたいか? 音を間違っても、音楽の流れを止めないほうが美しく聞こえます。間違った解釈さえしなければ、2小節に1回ブレスしても違和感はないはずです。
上達してから美しく演奏するほうが難しいです。どう吹きたいかだけでは、上手に聞こえません。
初歩の方で、もし上記のように考えているなら、いまこそチャンス、と思ってチャレンジしてみてください。
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